2009秋 S32同期会旅行記                    

 我々同期生の一泊旅行も、今年で4回目を迎える。最初の箱根の旅は、6年前だから、それから六つ年を取ったことになる。年をとればそれなりに、いろいろ変化も出てきて当然だが、もちろんその中には、困った点が多くなるのはやむを得ない。しかしそれを、明るく、前向きに受け止めて行くことが必要だろう。最初の夜、ある部屋では、現在・過去・未来の認識に関する、哲学的な議論が激しく行き交いしたが、そう言うことができる、若々しい精神を持った人の多いことに、心打たれると同時に、これからもこのようにありたいと思ったことであった。

 今回の旅は、前回一度計画されて実現しなかった、白川郷から白山スーパー林道を経て金沢に至り、翌日は金沢を散策して帰るというコースとなった。参加者は、残念なことに、今までの中でもっとも少ない67人となったが、欠席の知らせを拝見すると、健康問題、介護問題等の事情が多く、当たり前と言えば当たり前だが、現下の社会の状況を、そのまま映し出している感がある。次回、再来年になると、これがどのように推移していっているのか、若干の不安もある。

 10月22日、快晴温暖。旅にこれ以上の季節はない。朝8時津駅西口を出発の予定で、7時30分にはすでにバスが1台、そこで待っていた。徐々に集まった人を、名簿で確認していった処、一人足りない。もう出発予定の8時になった。そこで幹事長が自宅に電話した。ご本人曰く「えっ、11月ではなかったんですか?」…後で聞くと、奥さんは2、3日前に、もう間もなく旅行でしょ、とご本人に注意されたらしいが、ご本人は、いやあれは11月だと頑張ったそうである。松阪から出発したバスが、津に入って渋滞に巻き込まれ、津駅西口に到着したのが8時20分頃、奥さん運転の車ですっ飛んできた彼の到着が、8時30分頃になったので、彼の責任は10分間分と少し軽減された。もとから待っていたバスは、関ドライブインで待っている人がいるので、8時過ぎに先発していて、後発のバスはこれを追って8時30分にスタートした。関ドライブインで待っていた3人を乗せたバスは、東名阪道を走り、名古屋駅西口に向かう。もう車内では、ビール、焼酎、日本酒が出回り、朝から小原庄助さんの気分で盛り上がる。幹事長の携帯に度々電話がかかってくる。こちらが遅れることを連絡するのは当然だが、向こうから電話とは何か。これは、大阪からやってきた内の一人が行方が分からないのだと言う。携帯で連絡しようにも、ご本人は不携帯であるらしい。困った困った、と言っている内にご本人から幹事長に、公衆電話で電話がかかってきて、バスの乗り場を伝えることができ、ほっとする。

 名古屋市内の高速道路から、清洲東、一宮のジャンクションを経て東海北陸道に入る。 多くの人の心配は、この年頃になるとトイレ休憩。添乗の観光会社のK社長は、誠に気の利く人で東海北陸道に入ってすぐの川島PAに入りバスを止めてくれた。名古屋駅を出てから、30分も経っていないのだが大勢の人がここで降りた。最近の高速道路は、山間を走る場合は谷間は高い橋脚で、山にはトンネルを穿って作られるので、トンネルはかなり長いが、それを出て高いところを走ると、実に眺めがよい。下の方に広がる田園風景、点在する民家、山々の緑、紅葉、正に日本の古里の秋の風景である。
 荘川インターで高速を下り、国道158号から156号を走って、ドライブイン「みぼろ湖」で昼食。かつては、白川郷に行くにはこの道しかなく、車は結構多かったのだが、今は東海北陸道が全通して白川郷付近にもインターチェンジができたので、車は少ない。このドライブインも我々が着いた時には車は1台しか止まっていなかった。これで成り立って行くのかと人ごとながら心配になったが、それでも出発時には数台止まっていたから何とかなってゆくのかもしれない。昼食が終わったのは、もう1時をかなり回った頃であった。

  白川郷では最大の合掌造りの家、和田家を見学する予定であったがかなり時間が窮屈になってきたので、これを省略し、天守閣展望台に行って 白川郷全体を遠望する。よく、カレンダーや雑誌で、真っ白な雪に埋もれた白川郷を、高い位置から俯瞰した写真が見られるが、その位置から白川郷を見られるのである。目の前に、今日行かなかった和田家の屋根が聳え、幾多の合掌造りの家々が遠く見られる。街のメインの通りには観光客が三々五々歩いている。丁度逆光になるので写真は撮りにくいが、なかなか来られない絶好の場所とて、カメラ持参の方々は、撮影に忙しい。
 ここの駐車場は、 ここで食事をする人とかいつも来ている会社のバスとかが利用できるだけとのことで、 簡単には入れないらしい。貴重な写真が沢山写せたことと思われる。

 白川郷を出て、バスは白山スーパー林道に入って行く。逆方向から来た車が列をなしている。白山スーパー林道は全長33.3km、標高600mから1450mの所を右に左にカーブしながら続いている。料金所を通った時に見た料金は、大型バスで21,000円と高いような気もしたが、40人乗っておれば1人当たりは、500円強となるから、驚くには当たらない。山肌を右に左に進んで行けば、自ずと、景色は右に見えたり左に見えたりするわけで、どちらの席に座っている人にも、公平に眺められる。目の下に広がる景色、山肌に映える赤や黄色の木の葉、透き通る青い空。しかしバスの揺れに気分を悪くされた方が、何人かおられたのは少し気の毒であった。  途中、幾つかの展望台があり、よい景色をじっくり眺めることもできたのだろうが何しろ時間が迫ってくる。我々は、最高地点、1450mの峠を超えてしばらく走ったところにある、「ふくべの滝」でしばし休憩、東京から自家用車で駆けつけた2人ともここで合流し全員集合の記念撮影となった。
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   岩山を裾曳きのぼる竜田姫  Deko

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    すぎし世も笑顔も多彩もみじ山  ☆G 
    
 ふくべの滝は高さ86m、今は水量が少ないのだろう。天辺から少し落ちて岩に当たり、またその下の岩に当たり、と言う感じで下まで流れ落ちてくる。水量の多いときは展望台の地点まで、しぶきが飛んでくるそうだが、ちょっと想像ができない。 あとで調べてみると、ここから先に、「かもしかの滝」とか、「姥が滝」とか、いろいろ滝があるようだったが、全く知らずに通り過ぎ中宮レストハウスと言う所で最後の休憩をとって、今日の宿泊地、能美市辰口温泉の、『たがわ龍泉閣』に向かった。宿に着いたのは5時30分。『たがわ龍泉閣』と言うが、我々の幹事長の別宅でもなければ親戚でもない。石川県には著名な温泉が多く、辰口温泉も,1400年の歴史を持つ由緒ある温泉とのことだが、不勉強で今まで知らなかった。夕食は6時30分からとの話で、急いで温泉に入る。

 宴会は畳の大広間だが、今日は机と椅子の席が10ほど用意してあり、足を曲げるのが苦手な人にとっては嬉しい準備である。宴会の余興は、腹話術に始まり数人のカラオケがこれに続いて、名古屋組の郡上踊り「かわさき」となる。最後は、同期生の女将さんの本格的な踊りがあって幕を閉じた。残念ながら今年はフラダンスのご披露は無かった。

 ところで、この宿の呼び物は、「たんぼの湯」と言う露天風呂である。たんぼの中からお湯が出たので、そう命名されたものらしいが、これが単なる露天風呂ではなくて男女混浴の風呂だという。但し説明によれば、男は所定のパンツをはき、女は所定の衣類をまとって入ることが条件とされている。宴会前の入浴の時も、この露天風呂に入った人があったが、幹事長の指示により宴会後、全員でこの風呂に入ることになったようである。ようであると言うのは、結局この指示に従った人は、必ずしも多くなく、限られた人数であったようだからで、かくいう筆者は宴会後露天風呂に行ったことは行ったが、お酒を鱈腹頂戴したあとのことでもあり、長時間湯に浸かっていることができず、早々に退出してきたのであった。しかし情報によれば、その後ある程度の人数が、混浴状態を実体験したらしく、しかも、一大スペクタクルショーが開催された由である。ただ、旅館側の意向により、このショーは直ちに中止となったという話も聞いた。実際どのような状況であったかは、定かでない。   
  湯けむりに稲穂の揺るる露天の湯  Deko

 
 明けて23日、今日も快晴・温暖。今日は金沢の街の散策の日。まず全員で近江町市場に行く。
一番の繁華街、香林坊を通って行くが、街にはルイヴィトン、グッチなどの専門店も見られ、なかなかしゃれた装いを示している。
 近江町市場の近くの駐車場にバスを止め、市場の中を歩く。鮮魚が中心だが、野菜、肉、酒、生花、衣類等々、いろんな店が軒を並べている。蟹等は美味しいのだろうが季節としてはまだ少し早いか。
一通り回っても、それほど時間はかからず、買い物を沢山すれば別だろうが時間は余ってくる。40分間の予定だったが、結局かなり早めに駐車場の戻った人が多かった。

 駐車場のとなりに村上と言う小綺麗な菓子店があり、そこで試食もできお茶もサービスしてくれる。沢山の人がここでお菓子を買い求めた。甘いものが好きな私も、少しだがお菓子を買った。金沢はお菓子どころで有名で、森八の長正殿などは、日本三銘菓の一つとされているが、このお店は知らなかった。あとで調べてみると、金沢市内に数店あるほか、熱海、湯河原 にも店を持ち、日本中のデパートにも出店があるようで、大きな菓子店のようだ。  バスは兼六園下の大きな駐車場に移動する。ここから、ひがし茶屋街に行って、お茶屋を見学し、話を聞いてお茶を頂くツアーの希望者は、バスに乗ってそちらに向かった。私たち、10人強のグループは、金沢21世紀美術館に行くことにした。兼六園の南西、金沢城との間の道を歩く。金沢城の石川門が、晴れた青空に映えて美しい。石垣もなかなか立派なものだ。
 金沢21世紀美術館は、5年前に建てられたもので、近代的な明るい美術館。この美術館のコンセプトは、街に開かれた透明性、解放感の演出等々とされている。今は、横尾忠則の展覧会が開かれている。横尾氏の絵は、その特徴からして、我々の年代の人にはなかなか親しみにくいものだが、面白いことは面白い。他にも二つの企画展が開かれていたが、美術館の中の展示室の配置は、何か奇妙で、迷路のようであった。一つの部屋を出て、次に行くのが、どちらの方向であるのか、一瞬理解できない。係りの人に聞いて漸く分かるというようなこともあった。

 F氏の知人の経営するペンションがあり、そこで昼食もできるとのことで、何人かが一緒にそのお店に向かった。着いたところは、犀川のほとりで、広い河原は清潔に整備され、川の向こうの丘の上に、日本風の家屋が建ち並び、街の中でも見るに値する風景を作り出している。広い窓から光の降り注ぐ中、お昼の弁当、そして当然生ビールを頂く。次々と女性客が入ってくる。我々がかなりのスペースを占領していて、断られている客もあった。

 集合の14時30分までまだ時間があるので、兼六公園に行くことにしてタクシーに乗る。兼六公園は誰でも知っているように、日本三名園の一つ、入場料は300円だが、65歳以上の人はそれを証明するものがあれば、無料となっている。律儀に、免許証や保険証を提示している人もあったが、口頭で生年月日を申し出ればOKであった。流石に名園だけあって週日とはいいながら人が多い。高台から街が遠望できる。前田家の殿様もここからいつも街を見下ろしていたのだろうか。有名な徽軫(ことじ=琴柱)灯籠もよかったが、古くて形に特徴のある松の木が、面白い見物であった。最近の傾向だが、観光客の群の言葉を聞いていると、意味の分からないものであることもしばしば。この日も、一群の人の側で、ちょっと聞いてみたが、韓国の人のようであった。ガイドが説明をしていたので、いかにも分かったような振りをして、側で立ち聞きしていると、グループの一人が不審げに、私の方を睨む。急いで側を離れた。
 
 お茶屋、懐華楼はなかなかよかったという人が多い。これについては実際にそちらへ行かれた方のレポート『ひがし茶屋街&懐華樓』(倭神豚)に譲りたい。
 
 兼六駐車場から、関西組はJRの雷鳥号で帰るため、別れて駅に向かった。東京組の二人は、ここで飛び入りの一人を加えて、今日は平湯温泉へ行くとのこと。バスは名古屋組、三重組を乗せて北陸道を富山方面に走り、東海北陸道に入る。2号車では、ビンゴゲームが行われほぼ全員に豪華な(?)賞品が当たった。1号車では、カラオケに湧いた由。1号車は津に直行し、2号車は名古屋駅で名古屋組と別れた後、津に向かう。しかし関ドライブインでは、同じ時刻に到着となった。今回は積み残しとなった人もなく、無事津駅に到着した。 

 年齢のこともあり、この旅行を毎年企画して欲しいとの要望もかなりあるらしいが、多人数のグループ旅行を企画し、運営するのはかなりハードな仕事でもある。幹事長一人の努力に縋り付いている現状からすると、やはり隔年と言うことになるのではなかろうか。 次回、再来年の旅行は、すでに候補地があがっており、順番として関東方面となる模様である。またの楽しい旅行を期待しつつ、筆を置く。    
  終わり    

<注>  ◆写真提供: Deko ・ U-Jin ・ 倭神豚 ・ HERO ・ 梅       ◆挿入俳句出典: Dekoのメモ帖 ほか
     編集責任:☆G  
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