2011秋 S32同期会旅行記                    

 津高32年卒同期生一泊旅行は、今年で5回目を迎える。2年ごとだからもう10年になる、と言うのは少し誤りで、正しくは満8年、足かけ9年となる。しかしどちらにしても長く続いていることには変わりがない。誠におめでたいことである。
 1回目は箱根であったが、今回は再び関東地区となって、初日、熱海にある「MOA美術館」を見学の後、湯河原で1泊、翌日は古都鎌倉を散策して帰るという案が示された。ところが、予定された10月27、28日の頃は、MOA美術館は休館だという。代わりに、『クレマチスの丘』、と言うところに行くことになったが、これは殆ど誰も知らないところで、果たして、どのようなところだろうかという不安も少し持たれた。
 また、今回の参加者は、鎌倉の現地で当日のみ一緒になる人達を含めても55人で、100名近かった1回目の参加者からは大幅に減り、バスも初めて1台となってしまった。70歳を、2、3年超えて、正真正銘の“老人”と呼ばれる頃になると、体のあちこちの部品が、油が切れた状態となり、ぎしぎしと痛みを伴うようになってくることも多い。長時間のバス旅行は、行きたいが、行っても迷惑がかかることもあるかもしれないと、遠慮された方もあることだろう。致し方のないことだが、一抹の寂しさは拭いきれない。
 10月27日、天気は快晴。松阪駅前を出発したバスは、津駅西口で、津からの参加者を乗せ、伊勢自動車道を一路、名古屋に向かう。バスは、後部がサロン形式になった大型バスで、アルコールの好きな人は、早々とこの席に陣取っている。高速道路に乗った途端に、観光会社のK社長が、お酒、ビールを配りに回る。毎年お酒のでるタイミングが、早くなるような気がするのは、私だけだろうか。そのせいであろう、綺麗な話ではないが、途中、大山田PAで休憩してから、1時間も経たぬ名古屋駅で、名古屋組を乗せる間に、多くの人が手洗いに走ったのは、無理もないことではあった。
 東名高速道路を順調に走ったバスは、途中時折休憩をしながら、富士川SAに着いた。ここのレストランで昼食となったが、レストランの窓は大きく富士山に向かって開けており、真っ青な青空の向こうに、日本一の富士山が、まるまるその姿を見せてくれている。もちろん、雪を頂いた富士山が一番ではあろうが、雪はなくとも、その姿は均整が取れて素晴らしい。昼食の目玉はこの辺りの名物、さくらえびの掻き揚げ。かなり大きなもので、かぶりつくのは少々難しいほどだった。
 沼津ICを降りて、バスはクレマチスの丘に向かう。ここは、様々な品種のクレマチスの花が、四季折々に咲く庭園の中に、三角やら四角やら、様々な形をした建造物があり、庭園のあちこちや、建物の中に、イタリアの彫刻家、ジュリアーノ・ヴァンジの多くの作品が展示されている。
 庭園は誠に清潔に整備されており、建物の中の彫刻も十分な空間の中に、きわめて見やすく展示されている。彫刻は具象作品で、少し奇妙な感じのものもあるが、繊細な美しい感じのものも多くあった。庭から眺める、遠くの町並み、田園風景もよく、思っていたより、なかなかのものであるという印象であった。少し離れたところにも、別の美術館があり、健脚の人で、そちらも見てきたという話も聞いたが、殆どの人は、ここだけ見学して終ったのではないだろうか。

 バスは、国道1号線を走る。見たような風景があるなと思っていると、道路標識の行き先には[箱根]とある。えっ、今日は湯河原ではなかったのかと、暫く不思議な感を持ったままであったが、箱根を目前にしてバスは右にカーブし、曲がりくねった山道をおり始めた。これが湯河原への道なのであった。
 湯河原は、熱海と隣り合わせの温泉街であるが、熱海に比べて鄙びた旅館が多いという。今夜の泊まりは、大滝ホテルと言うところだったが、これは鉄筋の、鄙びたとは言えない近代的な建物の宿であった。
 東京組の一部の人はここで合流。大宴会でのアトラクションは、Hサンの腹話術、東京のFサンのシャンソン(2年前から本格的に習っているという)、Oさん、Nさん、お二人のフラダンス、家田屋大女将Kさんの日本舞踊・・・と続き、最後は例のごとく、校歌の大合唱で幕となった。

温泉(ゆ)の宿のみなお揃ひのちゃんちゃんこ  Deko    
シャンソンをしみじみ唄ふ夜長かな Deko
 温め酒酌んで昔を語り合ふ Deko

 あけて28日、ホテルを出たバスは、海の方向に走る。しばらく走ると、左右に旅館が次々と現れて、温泉街らしくなってきた。大滝ホテルは、かなり奥の方にあったようだ。
海辺にでたバスは、ここから鎌倉まで、海沿いをずっと走った。いろいろな意味で有名な湘南海岸。真白き富士の嶺、太陽の季節、石原裕次郎、サザンオールスターズ等々が思い浮かんでくる。さして風はないようだが、サーフィンを楽しんでいる人が多い。釣り場としても、よいところがあるらしく、東京在住のYさんの、釣りの本拠地でもあるという。
鎌倉に近づくと、稲村ヶ崎を通る。古い歌に、「七里ヶ浜の磯伝い、稲村ヶ崎名将の、剣投ぜし古戦場」と言うのがあったのを思い出す。
 鎌倉駅前に着くと、今日の散策だけに参加する関東地区の人が、待っていてくれた。本当に久しぶりの人達もいて、特に女性同士は、賑やかな会話となる。駅前で全員写真を撮る。駅前の歩道に、何十人もの団体が居座ることは、なかなか難しいので、急いで撮ったため、何人かの人が、洩れてしまった。
 ここから午後2時江ノ島駅集合までの数時間、自由解散となってそれぞれが思い思いの鎌倉散策となる。私は、暫くぶりの知人と会う約束をしていて、勝手ながら別行動となったので、細部に渡った報告はできないが、大きくは二手に分かれたのではないだろうか。一つは、鶴岡八幡宮から、江ノ島電鉄を利用して長谷寺、大仏を回り、集合場所、江ノ島海岸のバス駐車場に集まるもの、もう一つは、北鎌倉から、円覚寺、建長寺を経て、八幡宮に着き、江ノ島電鉄で、集合場所に着くもの。他にもあったかもしれないが・・。

 昼食には、これも最近売り出しの、しらすどんぶりを賞味した方が多かったように聞く。生のしらすを、ご飯の上にのせ、醤油をかけて味わうしらすどんぶりは、私もお昼に食べたが、とても美味しかった。尚、私は、知人に会う前に、駆け込み寺で有名な、東慶寺とその先の、浄智寺を拝観したが、お寺の規模が小さいということもあってか、拝観料が安いように思われた。  
 
 
 午後2時、名残を惜しみつつ、関東地区の人に手を振って別れ、バスは帰途につく。さして渋滞もなく、順調に走っていたように見えたが、名古屋に着いたのは、もう7時に近く、津に着いたのは、8時を過ぎていた。
  2年後、またこのような旅行ができるのか、と言う少し淋しい会話もないではなかったが、また数が少なくなっても、旅行ができれば幸いである。ただ、もう少しバスに乗る時間が短い方がよいという意見が多かったのは事実だ。       
終わり


<<Photoni句 Special>>

    

<注>  ◆写真提供: Deko ・ 倭神豚 ・ HERO ・ ☆G       ◆挿入俳句出典: Dekoのメモ帖 ほか
     編集責任:☆G  
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