2023 S32同期会旅行記  
 津高校32年卒同窓会の旅行は、このところコロナ禍の影響でしばらく途絶えていた。美杉男幹事長としては、一度復活して行いたいと考えておられたようだが、今年8月、同窓会行事や一泊旅行で常に場を大いに楽しく盛り上げてもらっていた家田屋大女将が亡くなられたこともありその面影を偲んで、一泊旅行を再開したいと計画を立て案内状を発送した。
 第一日目は、中津川の岩寿温泉に泊まり 2日目は馬籠宿を散策すると言う、年配者向けのゆったりしたスケジュールの旅である。結果的には、もう年齢を重ねて様々な事情を抱えた人も多く、またある地域の別の計画と重なったりしたこともあって、参加者は 14名と かなり淋しくなったが、ともかく実行することとなった。家田屋大女将、故河内貞子さんのご主人とご長女も特別に参加いただき、バスは 28人乗り(多分)の中型で座席の間隔は広く、コンダクターの小山さんによれば、ビジネスクラスの座席とのことだった。 なお今回も、日本ユニバース観光の小山さんにお世話を願ったのだが、もうメンバーの一員のようにおなじみの感じで、お互い気楽な感じであった。
 10月31日、津駅を10時発とゆっくりしたスタート。天気は快晴、適度の暖かさで申し分のない気分。関ドライブインで1名乗車、名古屋駅西口で名古屋地区と関西からの2名を乗せ、中央道に入る。内津峠でトイレ休憩。土岐プレミアムアウトレットに入り、ここで昼食。中にフードコートがあり、いろいろな食事が楽しめる。ここは比較的新しいアウトレットで、10あまりの建物で構成され、ファッションに疎い私でも知っている店が ざっと130店舗、軒を連ねている。しかし、私の探していたダックスの店はなかった。私は、バスの中でビールを飲みつまみをいろいろ食べたので昼食をとる元気はなく、しばらく外のベンチに座って、空の雲を眺めて時間を潰した。
 中津川の山の中に、岩寿(いわす)温泉という温泉があり、ここに岩寿荘という宿があって、10月末まで 松茸づくしの料理が出ると言う広告を 美杉男幹事長が見て、これを目玉に同期旅行を計画、全体のスケジュールを日本ユニバース観光が立てたとの話である。松茸づくしの料理が出るのは10月31日までと言うことだったので 今回の日程が組まれた由。山の中に入り込んだバスは やがて宿の前に着いた。ぽつんと一軒ある宿のようで、周りは山々に囲まれている。若干古い建物で、4階まであるがエレベーターはない。我々の部屋は2階なのだが、車椅子で参加のF氏夫妻は、乗用車で2階玄関まで送ってくれる。
 部屋に入ったが、もう布団が敷いてあって、座椅子はなくお菓子もおいてなかったので風呂に入るしかない。温泉はラジウム温泉で、神経痛・肩こり・筋肉痛に効くという。中の浴槽のお湯は、かなり熱く長時間は入っていられない。露天風呂の湯は適度な温度で気持ちがいい。庭は鬱蒼とした樹々が生え、いかにも山の中の温泉という感じである。それだけに虫が多いらしく、窓を開けないようにとの注意書きが大きく書いてある。事実、窓は閉め切ってあるのに、いつの間にか、どこからかカメムシが入ってくる。カメムシはこれで捕まえて下さいとガムテープがおいてあった。
 さて夕食の松茸づくし。焼き松茸・土瓶蒸し・松茸ご飯と、もう一つ何かあったが思い出せない。コンロの上に網がおいてあり、松茸をおいて両面ふわっとしてきたら食べてくださいとのことだったが、残念ながら香りは今ひとつであったような気がする。料理の中では、鯉の治部煮が面白かった。但し小骨が多くて、食べきることはちょっと難しかった。もちろんお酒は十分いただいた。故貞子さんの遺影を前に、一人ずつのスピーチでは彼女の思い出がいろいろ語られたが、皆そろってその陽気な振る舞い、歌・踊りが忘れられないようであった。 故人のご主人は、私の隣に座っておられたが、まだ亡くなられて3月ほどだということもあって、 日常の暮らしの中の寂しさを話しておられた。返す言葉はなかった。
 部屋に帰ってテレビで日本シリーズを見る。阪神は劣勢で、見ているとイライラしてくるので眠くなってきたこともあり、途中でスイッチを切った。
 初日もいい天気ではあったが、第2日11月1日は全く雲のない超快晴。山の中で空気がきれいなせいか津市内で感じるより空が青い。宿の前の銀杏の黄色が青空に映えて美しい。ここで集合写真を撮る。出発は 10時とゆっくりで、のんびりできる。当初、朝食は9時とのことであったが、それでは少し忙しいという意見もあって8時 30分となったので、なお余裕のある時間となった。
 馬籠宿に向かう。以前にも行ったことがあるが、神坂(みさか、と読むらしい)から、急な坂道を登っていった記憶があり、あの坂道を登るのは大変だな、と心配していたのだが、いろいろ考えてもらい、まず上の方の駐車場までバスで行き、ここで下ろしてもらって、ここから神坂まで下り一方の道をゆっくり散策、バスはその間に下の神坂に回っていってそこで待ってもらうと言うことになった。
 駐車場で降りると,すぐ下の方に行くのでなく、そこから妻籠の方に向かって、ほんのわずか坂道を登ると展望台がある。遠くに恵那山がのぞまれ、谷あいが下の方に広く広がり、大きな眺めで心も広々となるようだ。深呼吸すると心なしか空気も美味しい。  坂道をゆっくり下る。いろいろなお店があり、いろいろな土産物を売っている。しかし閉店となっている店もちらほらあり、コロナで厳しかったのだろうかと考えさせられる。一言申し添えると今回参加者の内、男性は8名だが内4名が杖をついて歩いている。下りの坂道は楽ではあるが杖を持っている方が安心であるとは言える。かくいう小生も杖を持って(ついて)歩いた。
 馬籠本陣記念館に来た。入るつもりはなかったのだが、入り口まで行ってみると戸が閉まっていた。11時近いから開館時間が来ていないとは思えないが、どうしたことだろうか。
 藤村記念館に来る。「木曽路はすべて山の中である」と始まる小説「夜明け前」を書いた島崎藤村の生家である。一度火事で焼失し、その後再建されたものだとのこと。彼の作品や、記念品がが数多く展示されているのだが、誰も入ろうとしない。入口を少し入って、中をのぞき込もうとすると、
「もしもし入館料がいりますよ」と注意された方がいたが、ここに入るとちょと時間が厳しい。残念ながら失礼することにした。
 小生は過去に2回ほどここに入ったことがあるのだが、どのようなものであったのか、あまり覚えていない。神坂まで、降りてきたが食事までに若干時間がありベンチに座って待つ。すぐ横に店があり、普段は五平餅を売っているのだが、ここも閉まっていた。食事は馬籠館というところでとる。そばと栗おこわと、少しのお惣菜。栗おこわはもっちりしていて美味しかった。これで今回の旅は予定のコースを終了した。

 名古屋で2人が降り、関で1人が降りて津駅西口には 17時頃着いた。天候に恵まれ、ゆったりした旅が楽しめた。なお、同行してくださった故貞子さんのご長女は、バスの中、宴会の席、旅の途中の様々な場面で、私たち年配者にいろいろ心遣いを頂いて本当にありがたかった。心からのお礼を申し上げて、この稿を終わりたい。
《 11月4日 梅本 記 》   
  
               参考データ 【バス旅行参加者の推移】
・2003年  箱根 95人   ・2005年 信州 85人   ・2007年 尾道 79人  
・2009年  金沢 67人   ・2011年  鎌倉 55人    ・2013年 高山 55人   
・2015年  西浦 33人    ・2020年 白馬 36(うち同期25)人            
・2023年  岩寿・馬籠 14(うち同期11)人                                                   
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